不用品 回収 東京のリニューアル
コムギにはじまり、イネを栽培して、食料にあてることを発見したのは、その頃のことです。
それから、一万年の間に、人類の人口は五六億人を超え、現在もなお高い率で増加しつつあります。
このような膨大な数の人類が生きてゆくことができるのは、農耕を中心として食料を大量に生産することができるからです。
しかし、二十世紀は工業化と都市化の世紀といわれています。
この一〇〇年間に、農業から工業へ、農村から都市へと人口が大きく移動してしまいました。
これからも大変な数で増加してゆく人類のために、充分な食料を生産することはますます困難となりつつあります。
じつは、地球温暖化という現象も、工業化と都市化がもっとも大きな原因となっておきているのです。
しかも、地球温暖化によってもっとも大きな被害を受けるのは、農村と農業です。
とくに日本の場合、農業の衰退は著しく、農村の過疎化が極端なかたちで進んできました。
いま日本では、食料の半分以上を外国から輸入しています。
平均して一人一日当たり約二六〇〇キロカロリーの栄養量をとっていますが、そのうち一四〇〇キロカロリーは輸入食料からとっています。
日本の国土が人口の割にせまく、山地が多いため、農耕地が少ないからではありません。
減反政策によって、四〇万ヘクタールの農耕地がまったく利用されていないのです。
日本の農地全体の七%に当たります。
発展途上諸国には、飢餓と貧困に苦しむ人々が数多くいます。
地球温暖化が進むと、環境難民が飛躍的にふえることについては、前にくわしくお話しました。
その大部分は農村に住んで、農業に従事している人々です。
どうすれば農業をさかんにして、農村を活性化することができるでしょうか。
これから二十一世紀にかけて、おそらくもっとも重要な政策的課題となるのではないかと思います。
この課題に対して、制度主義の考え方にたつとき、どのような回答が得られるのでしょうか。
そのために、日本の農業がなぜこのように衰退してしまったのかを考えてみましょう。
農業は、イネ、コムギなどの農作物をつくったり、鳥、豚などの家畜を飼って、食用にあてる営みです。
そのほかにもワタの綿花から木綿をつくったり、蚕の繭から絹をつくって衣服の原料とするのも農業です。
森林から木材を伐り出す林業、海や川から魚介類をとる漁業も、ひろい意味での農業に含めて考えることもあります。
しかし、農業の中心はやはり、田畑を耕して、植物を栽培して、食料にあてる営みといってよいと思います。
いずれにしても、農業は、生物を使って、その生命現象をうまく利用して、人類の生存、生活に必要なものをつくりだしているわけです。
植物の場合、太陽千不ルギーを使って、大気中の二酸化炭素と水を酸素と炭水化物に変えて、すべての生物が生きてゆくために必要な有機物をつくりだしています。
この点、農業は、工業とは決定的に異なっています。
工業部門では、生産工程で化石燃料の大量の消費を必要としますが、農業部門では、化石燃料を使わないでも、生産活動をおこなうことができます。
植物は、葉から二酸化炭素を吸収し、根から地中の水を吸い上げて、葉緑素を使って光合成をおこない、酸素と有機物(炭水化物)をつくりだします。
呼吸は、光合成によってつくりだされた炭水化物が酸素と結合するものですが、そのときに出されるエネルギーを使って、植物は、水や地中の有機物を吸収し、蛋白質、脂肪などをつくって成長しつづけることができます。
草食動物は、植物を食べて生きています。
その草食動物を肉食動物が食べるという食物連鎖がつくられ、人聞かその頂点にたっているわけです。
農の営みはもともと、太陽エネルギーと二酸化炭素という無限に存在する資源を使って、人類が生きてゆくために必要な食料をつくってきたわけです。
工業は、化石燃料という限られた量しか存在しない資源を大量に使って、自然環境を破壊するだけでなく、大気中に二酸化炭素を放出し、地球温暖化をひきおこしているのです。
しかし、農の営みが、農業として、それに従事する人々の生計を支えてゆくためには、農機具、農薬などという工業製品を使い、電力、ガソリンなどを大量に使っています。
自然環境を破壊することなく、また二酸化炭素の放出量をできるだけおさえて農業をおこない、しかも農民がゆたかな生活をおくることがはたして可能でしょうか。
この問題は、いま日本が直面しているいちばん重要な課題の一つではないでしょうか。
第二次世界大戦中から戦後にかけて、日本の食料不足は深刻でした。
そのため、米、麦やさつまいもの増産に焦点がおかれていました。
上地改良事業を中心とした補助金の交付、米価の引き上げというかたちで農業の保護政策がとられました。
このことは、一九五五年頃から、米の生産量が大幅にふえ、食糧の輸入が可能になってからもつづきました。
また、その頃から、農村から都市へと労働力が大量に移動しはじめました。
とくに、若者たちの移動が大きく、年々二〇万人から三〇万人の人口移動かおこるようになりました。
一九五五年にはじまった高度経済成長は、この農村からの大量の入口流出によってはじめて可能となったわけですが、農山村は極端に過疎化がすすみ、農業もまた急速に衰退しはじめました。
この傾向を決定的にしたのは、一九六一年に制定された農業基本法でした。
その結果、一九六一年には、新卒者のうち、農業を選んだ人々が九万人いましたが、それから約三〇年経った一九九三年にはわずか一七〇〇人になってしまいました。
農業基本法の目的は、一戸一戸の農家の規模を大きくし、機械化を進め、農家の所得を引き上げようとするものでした。
そのために、政府は積極的な政策を打ち出したのですが、逆に農村はいっそう過疎化し、農業は衰退をつづけてしまいました。
農業基本法が現実に合わない、誤ったものだったからです。
農業基本法の中心は、自立経営農家を育成するという考え方でした。
政府が考えていた自立経営農家というのは、水田農家を例にとってみますと、つぎのようなものでした。
イネの種播きは飛行機による直播き、除草、病虫害防除はすべて農薬によっておこない、刈取りはコンバインを使い、集中的に機械乾燥し、保管するというかたちを考えていました。
要するに、当時アメリカで一般的になっていた水田耕作を、そのまま日本に取り入れようという無謀なものだったのです。
このために、四〇馬力のトラクターを中心として大型一貫機械化を必要としました。
水田の場合、四〇馬力のトラクター一台に対する最適な耕地面積は四〇ヘクタールといわれています。
少なくともトラクターを二台使わないとうまく作業をおこなえませんから、水田耕作の場合、農家一戸当たり八〇ヘクタールというのが、自立経営農家の姿だったのです。
農業基本法がつくられた頃、農家一戸当たりの耕地面積は〇・九ヘクタールで、北海道を除くと〇・八ヘクタールでした。
しかもその半分以上が、〇・五ヘクタール未満で、三ヘクタールを超える耕地面積をもつ農家は、全体のわずか〇・六%にすぎませんでした。
平均耕地面積のじつに一〇〇倍という規模をもつ農家を想定して、自立経営農家として育成しようという発想はまったく奇異としか考えられません。
政府は、大規模の自立経営農家を想定して、農地の整備、濯漑や排水の施設をつくることをはじめました。
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